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山彦 コントラバス用ピックアップContrabass

世界中のプロユーザーの厳しい要求に応えたピックアップ

1987年の発売以来、世界の多くのプロミュージシャンに愛用されてきた、定番ピックアップです。
ピックアップの出現により、コントラバスがソロ楽器としても脚光を浴びるようになりました。
そして今、より忠実なピックアップによりあなたのより微妙な表現までも、多くの聴衆に伝えられるようにするのが我々の目標です。

  • 微妙な演奏のニュアンスをストレートに再現
  • 弓奏きでも癖の少ないクリアーな音質
  • スタジオクォリティーの高音質
  • ローノイズ、ハイアウトプット
  • 弦高アジャスター機能を兼ね備える
  • ケーブルを外して簡単にセンサーを回転可能
  • アジャスター型センサーは頑丈なのでアジャスターと同じように取扱っても壊れません
  • 多彩なピックアップアレンジにより様々なユーザーの要求に対応センサー、アジャスター、インターコネクトケーブル、アウトプットケーブル、以上のパーツにより、駒の片足にのみセンサーを取付けるものから、両足のセンサーからの出力を自在にMIXできるシステムまで自由にアレンジ可能
  • 安定な取付構造のため長期にわたり安定した音質をキープ
  • プロの使用に耐える長寿命設計
  • 高品質部品を使用したプロ向けの最高品質ピックアップ

このピックアップの取付けは専門の楽器技術者に依頼する事を強くお薦めします。
取付け方法はアジャスタとまったく同じなので、アジャスターの取付けを依頼できる楽器工房に依頼すれば安心です。

サンプル音

このサンプル音はエディ・ゴメス氏の演奏によるもので、このページのためにニューヨークにて録音されました。
ピックアップの構成は2センサーシステムで、他のマイクロホンは使わずピックアップのみのライン録音です。

  • ピチカート

  • ボウイング

エディ・ゴメス氏のインプレッション

エディ・ゴメス氏がこのピックアップのインプレッションを語ってくれました。

音質Sound

広音域をフラットに

特有の共鳴音を持たず、広い音域に渡って倍音も含めてフラットに楽器の音をピックアップできるのがこのピックアップの特徴です。
これによりイコライジングにより音色を調整する自由度が広がりました。
癖があるピックアップの場合、ある音域だけが抜け落ちたりしていて、そこが気になりイコライジングによりブーストしようとすると、欲しい音域はあまり出ないのにその周辺の音域が強調され思ったような音質のコントロールができず、頭を抱えることになります。

自由なイコライジングが可能に

楽器の共振によるピークには鋭いものが多く、イコライジングによりこれを取り除こうとすると、やはり周辺の音域がなくなってしまい思ったような音質のコントロールができないことが多いようです。
このピックアップは楽器の共振による癖が出にくい所に取付けることで、広い音域に渡って倍音も含めてフラットに楽器の音をピックアップすることができ、イコライジングなどによる音質のコントロールが思うように行えるばかりか、ボウイングによる音も自然な音質でピックアップされるのが大きな魅力となっています。

アレンジ例Arrange

  • ダブルセンサーシステム

    CPS-DB-S4 2個 CPS-DB-OC 1個 CPS-DB-ICC 1個 以上の組み合わせで構成できます。
    この構成がもっともお薦めできるもので、ピチカートでも弓奏においても全てのポジションで音量バランスがよく、力強い音が得られます。
    CPS-DB-ICCケーブルを外すと、シングルセンサーシステムの音色で使用することができます。
    バンドや音楽の内容により音色を選んで使用することも可能です。

  • シングルセンサーシステム

    CPS-DB-S4 1個 CPS-DB-OC 1個 CPS-DB-ADJ 1個 以上の組み合わせで構成できます。
    低予算で導入できるのがメリットです。
    ピックアップを取付ける楽器の個性により結果は異なる事もありますが、E弦側のみにセンサーを取付けたシングルセンサーの場合、G弦のハイポジションで音量が減る場合があります。
    音質面では全音域で芯の音が弱くなる傾向で、ソフトで丸みのある音と感じられる場合があり、この音色を好まれる方もおられます。

セッティングInstall

弦に近いところにピックアップを取付けるとピックアップされた音は弦の音が強調され、胴の鳴りは聞こえにくくなり、せっかくの良い楽器の響きが生かされない傾向があります。
またコントラバスの胴体、例えば表板などにピックアップを取付けると、ピックアップされた音はピックアップを取付けた場所の鳴りが強調され胴や表板の癖のある共振を伴った音色となることが多いようです。

なぜ駒の足にピックアップを?

我々の開発したコントラバス用ピックアップCPS-DB型はコントラバスの発音原理を徹底的に研究することにより生まれました。
演奏者が弦に振動を与えるとその振動が駒を伝わり表板を振動させ音が出てきます。
最も低い音域は表板の裏側から胴内の空間とエフ孔で構成された共鳴箱で増幅され、豊かな低音となります。
表板は複雑な振動をしており、音域によって音が出る場所が目まぐるしく変化しているようです。
しかし、音域によって音が出る場所が目まぐるしく変化することにより、楽器から少し離れて聞けば平均化されて癖の少ない音になるよう考えられてようでもあります。
この表板の性質が楽器の音質を大きく左右すると言われています。

発音エネルギーの移動に目を向けると、演奏者がエネルギー源となり弦、駒、表板をエネルギーが伝わり、最後に音というエネルギーになります。
ここで少し注意していただきたいのが、逆方向にもエネルギーが伝わるということです。
コントラバスの周囲の音は表板を振動させ、駒を伝わり弦を揺らします。
これは演奏者の方なら体験を通じて実感できることと思います。
また弦のような共鳴するものはエネルギーを蓄える性質を持っていますので、一度弾かれるとエネルギーを蓄え、駒を通じて表板から音を出すことによって少しづつエネルギーを吐き出して振動が減少し、音も小さくなってゆきます。
これがコントラバス独特のサスティンとなって、エレクトリックベースなどとまったく異なる持ち味を醸し出しています。

表板も弦と比べると共鳴の度合いは少ないのですが共鳴ポイントを数多く持っています。
この表板の共鳴と弦の共鳴の間でエネルギーのやりとりが行われ、コントラバスのサスティンに独特の深みを与えているのではないかと思います。
このエネルギーのやり取りはすべて駒を通じて行われています。
これらのコントラバスの発音のメカニズムやコントラバスの音色を特徴づけている要素から考えると、それらのエネルギーのすべてを伝達する駒はコントラバスの発音に関する情報が最も集中するパーツと言うことができるでしょう。
今まで存在した多くのピックアップが駒に取付けられたのは、このような理由からであったのかも知れません。

明確なピックアップポリシーPolicy

我々はダブルベースの発音メカニズムについての以上のような認識を基に、どこにピックアップを取付けるかを検討しました。
その結果ダブルベースの発音に関する情報が最も集中する駒の中でも、エネルギー伝達が集中する駒の2本の足に注目しました。
この駒の2本の足は振動の伝達要素として最もシンプルな角柱であり、共鳴などの癖がほとんど無く非常に頑丈で安定したものです。
ここでさらに考えなければならないのは、振動のエネルギーは振動力と振動加速度によって伝達されるので、どちらをピックアップするかです。

ここで言う振動力とは駒が弦の振動を受けて表板を押す力のことで、振動加速度とは駒の足が表板とともにどのように震えたかと言うことです。
答えは簡単でした。
振動加速度はピックアップを取付けた場所(駒や表板の駒付近)の振動しやすさによって大きくも小さくもなり、ピックアップした音に癖が出やすいと言う、大きな原理的問題があったからです。
振動力は外的要因に左右されにくく安定な要素なのです。

例えばビルディングの頑丈なコンクリートの柱にダブルベースと同じように駒を立て弦を張った場合は、弦の振動によるコンクリートの柱の震え(振動加速度)はほとんど無いでしょうが、駒の足を伝わる振動力はダブルベースの場合とある程度似たものとなるでしょう。

これらのことから、我々は駒の2本の足に伝わる振動力をピックアップすることにしました。
その結果特有の共鳴音を持たず、広い音域に渡って倍音も含めてフラットに楽器の音をピックアップすることに成功しました。

ピエゾ素子による音楽用「振動力」センサーを開発し、駒の足を切断しその間にこの振動力センサーを挟み込むことでこの目的を達成しようと考えました。
駒の足を切断し取付けるものとして弦高アジャスターが古くから使われていたので、弦高アジャスターとしての機能も兼ね備えたピックアップを開発することにしました。

結果として力学的にも非常に安定したピックアップの取付場所を得ることが出来、長期にわたる安定したピックアップ音を得ることが可能になりました。
また、ピックアップの核となる振動力センサーは振動計測用ピエゾフォースセンサーの技術をベースに設計し、厳選された計測器用の高信頼性部品を使用することによって、楽器用としてはこれまでにない高品質の製品を皆様に提供することを目指しました。
このようにして、我々はこのダブルベース用ピックアップCPS-DB型を完成させました。

長期間のご愛用に応えるためにLong life

長寿性の理由

このピックアップシステムは、音質最優先で設計されたため、楽器への取付けには少々手間のかかるものとなってしまいました。
それゆえ一度取付けたら長期間の使用に耐えるものでなければなりません。
そのために導入したのが工業用センサーの技術です。
工業用センサーは機械装置の異常を振動の変化により早期に察知するために使用されることが多く、高い信頼性と安定性が要求されます。
我々はこれら工業用センサーと同等の部品を用いてこのセンサーを設計することにより高い信頼性と安定性を確保し、長期間の使用に耐えるものを目指しました。
その結果日本国内において1987年の発売当初のものを、現在までご愛用いただいているという実績を得ることが出来ました。
さらに今後も変わらずご愛用いただけるものと確信しております。

パーツを厳選

ピックアップの心臓部であるピエゾセラミクスエレメントは、弊社の仕様に基づき実績ある日本国内の工場で厳格な品質管理の元に生産され、1個づつ特性が測定されたものを使用しております。
振動する環境の下ではコネクターとケーブルがノイズを出すことがあります。
コネクターを振動させると、振動により接点の接触が不安定となり音に濁りが生じることがあります。
これを解決するためには、振動する場所で使用できるよう設計された耐震コネクタを用いることが必要です。
このピックアップに使用しているミニコネクターは振動加速度センサーに古くから用いられているもので、振動する場所で十分使用できる仕様のものです。
また、ケーブルも振動によりノイズを発生する可能性があります。
このピックアップシステムのケーブルは、振動計測分野で使用されているノイズ発生防止構造のものを使用し、楽器に取付けて振動が加わった場合でもノイズの発生を防いでいます。
このようにして純粋で濁りの無いピックアップ音を取り出すことを目指しました。